教員の語る「教養教育」とは

東北大学植物園へ学生を誘う

総長特命教授 前 忠彦

 東北大学の青葉山植物園は、川内南キャンパスの南端に位置し、モミの木を中心とした自然の森で、植物園全体が天然記念物に指定されています。北キャンパス講義棟から、わずか5分程度の所です。植物園は東京ドームの10倍を越える広さがあり、高低差もかなりあって、その散策は軽いハイキングになります。園内をゆっくり見て回るには1時間半は必要です。都市の真ん中にあってほとんど手付かずの貴重な自然が残されている植物園は、世界中を見ても珍しいそうです。季節の花や珍しい植物を、温室などに並べて展示する一般の植物園とはまったく異なります。
 私は1セメスターに、植物科学に関連した基礎ゼミ2科目、基幹科目(自然論)1科目、総合科目1科目を担当しています。いずれの講義においても、授業の一コマは植物園の訪問に当てています。天気のよい日を選んで受講者全員が園内を自由に散策します。座学ばかりではなく、直接植物を見たり、触ったり、木漏れ日の中を散策することを通して、学生それぞれが何かを感じ、自然について想いを巡らし、考えて欲しいと思うからです。
 東北大学のすべての学生に、一度は「植物園訪問」を体験して欲しいと思います。

2012.7.17