教養教育院紹介

教養教育院の役割

 平成24年4月に就任した里見総長は「ワールドクラスへの飛躍」と「東北復興の先導」を東北大学の新しい目標に掲げました。国境を越えて物と人が激しく流動している今日の世界では、政治・経済・社会・文化のあらゆる分野で、新しい発想と多彩なコラボレーションによって問題を解決していくことができるグローバル人材が求められています。また3.11東日本大震災からの復興には、問題を根本的に考えて適切な判断を下し、敏速に行動できるリーダーシップのある人材が求められています。大学でのこのような人材の育成の最初の段階を担うのが教養教育です。
 教養教育の中でも、初年次教育はとりわけ重要です。高校までの「受験型勉強」という狭い枠に閉じ込められた知性を開放し、学ぶことの楽しさを知ってもらい、知的好奇心を高めることが初年次教育の目的です。東北大学では初年次教育を全学教育と位置づけ、全学の教員が協力して授業を担当していますが、教養教育院の役割は、様々な創意工夫によって学生の学びへのモチベーションを高める授業を創り出し、教養教育改革の先導的な役割を果たすことです。
キャンパス風景

教養教育院の構成

 教養教育院は総長特命教授と教養教育特任教員から構成されています。両者の任務は以下のとおりです。

 

総長特命教授
 本学を定年で退職した教授の中から、すぐれた教育研究業績があり、かつ教養教育にふさわしい能力をもつという条件で選考されます。幅広い知識と独創的な研究経験を活かし、研究の魅力と醍醐味を伝え、一人一人の学生が研究の世界にどのようにして入っていくのか、その筋道を直接初年次学生に語ることによって、知性を活性化することが主な任務です。

 

教養教育特任教員
 教養教育に強い情熱と優れた教育能力をもつ教員の中から教養教育院に兼務させ、全学教育科目を担当する教員として総長が直接任命します。さまざまな創意工夫によって教養教育を活性化することが主な任務です。

教養教育院設立の経緯

 平成19年3月の「井上プラン2007」の中で、教育面については、①大学教育の根幹となる教養教育の充実、②知を創造できる専門教育・大学院教育の充実、③新たな教育システムの開発、④学生支援体制の充実、⑤意欲的な学生が受験する入試戦略の展開の5項目が掲げられました。
 これらを具体的に遂行するための手段の一つとして平成20年度に、幅広い知識と深い研究経験のある退職教授を総長特命教授(教養教育)として配置し、研究中心大学として、初年次ばかりでなく大学院生も対象として教養教育を担う「教養教育院」が新設されました。さらに平成22年度に、教養教育に取り組む教員を教養教育特任教員として教養教育院に兼務する制度が始まりました。

主な活動・取組

①基礎ゼミクラスの担当
 高校までの「受験勉強中心の学び」から「自ら探究する大学での学び」への転換を目的に、初年次学生全員が受講できる学部横断型少人数科目(基礎ゼミ)が毎年約160コマ開講されています。1クラスの人数は10~20人ですが、総長特命教授はそれぞれ2クラス(各クラス20~25名)を担当します。「研究をするには何が必要か」、「大学に入学した段階でまず何をしなければならないのか」、そうした疑問に対して、学生とのコミュニケーションを密にし、グループによる課題研究・調査、図書館・インターネットによる情報収集、現場の見学、レポート作成、発表、討論を通じて学生たちが自ら答えが出せるように支援します。
受講風景
②全学教育(基幹科目・総合科目・語学教育)での新たな試み
 初年次・2年次学生を対象にして行われる全学教育は、基幹科目(人間論、社会論、自然論)、展開科目(理科実験、カレントトピックス科目、総合科目等)、共通科目(基礎ゼミ、外国語科目、情報科目、保健体育科目)で構成されています。教養教育院の特命教授と特任教員は得意分野の科目を担当し、授業を活性化させるためのさまざまな試みを行っています。
③教養教育への理解を深める
 毎年、教養教育をテーマにしたセミナーや合同講義を企画し、「教養教育とは何か」について教員と学生が語り合います。学生たちが教養教育の中で自分自身の知性を高めることがいかに重要かを知るよい機会となっています。また教員たちにとっては教養教育を考え深化させるよい機会となっています。

④小冊子『読書の年輪』の発行
 初年次学生が「大学での学び」を始める上で一つのガイドブックとなる『読書の年輪~研究と講義への案内』を毎年刊行しています。教養教育院特命教授が、自らの教育・研究活動の経験を基に、大学での学びや生活に役立つ本を各自が6冊選び、内容を紹介するものです。

 

⑤教養教育への提言
 教養教育院の院長(教育担当理事)が主催する教養教育院懇談会(年4回開催)や総長との懇談会の機会に、自らの教養教育での実践に基づいた意見を述べ、東北大学の教養教育改革に寄与しています。

大学ガイドブック 読書の年輪